森貴也
もり たかや
作品名「境界」
行動美術賞
作家の言葉
ニューヨークの9.11(2001)のニュースは、まるで映画のワンシーンのようだった。現実に起きていることが非現実に感じるのはなぜか?もしその間にフィルターがあるのなら、私はそのフィルターを取り除くことができるような作品を作りたいと思った。そこから「鉄」と「ステンレス」の2つの異なる素材を融合して「境界」という作品を作り始めた。
この作品は鉄でできた街と、ステンレスを鏡面に磨いた地面によって構成されている。鉄の街は錆びながら時の記憶を刻んでいく。ステンレスの鏡面は、明日も明後日も常にその時の今を映し出す。時間が経つにつれ、2つの境界はより鮮明になっていく。私の作品に映り込む今が見る人にとってのプラスなものであってほしい。
内藤早良
ないとう そら
作品名「Shelter」
会友賞
作家の言葉
今回の作品の素材は、主に鉄です。
丸棒という棒状の金属で表現することを日々考えています。金属という素材の特性を活かし有機的で無限に広がる制作が出来ると常々感じております。
現在は、今までの生き物をテーマに表現する作風からどう次への展開ができるのか、自分らしいを進化し続けられるのかの方向性を考えています。
今回の作品のイメージは、映画好きで特にSF系の映画で、宇宙生命体を研究材料としてカプセルに閉じ込め、カプセル内の生命体はまた新たな生命を作り出している様子です。
新たな試みをするということは、危険な賭けだと思います。今回で5回目の入選ですが、私の作品の変化を知っている会員の方々のお言葉や展示に来てくださる方の意見を聞ける場でもありとても貴重な体験をしています。
今村玄一
いまむら つねかず
作品名「Twist2017-環-」
新人賞
作家の言葉
螺旋をイメージし伸びやかな曲線を作品にしました。
鋼材にやわらかい表情を与えるには様々な方法があるのですが、手数を増やさずイメージ通りの形を表現するには試行錯誤の連続です 。
いつも手で素材をさわり面白い表情を探し対話しながら今後の作品制作を続けていく第一歩になればと思う作品となりました。
稲毛麻理
いなげ まり
作品名「Bee House」
奨励賞
作家の言葉
ある時蜂蜜を食べながら息子が蜂蜜ってどうやってできるの?
蜂のお尻から取るの?と疑問に思った様で養蜂場の蜂の巣を一緒に見ました。
そのフォルムと存在が素晴らしかったので、ただただそれをイメージに造形物が作りたいと思い制作しました。
なんとなくではありますが、今回も自分の作品テーマである「家」に関わりのある物ができました。
今は希少な耳付きのチーク材を使い、凹凸の順番やオイルでの着色、真鍮板の羽を置くなどで雰囲気を出しました。
阿南有希
あなん ゆうき
作品名「明日の業」
作家の言葉
この作品は未来の人類をイメージしていて、変化の早い社会から生じる疲労や環境破壊を受け止めながらも、それでも何かを作り続ける人間の性質を表現しようと思い制作しました。
金明麗
キム ミョンリョ
作品名「Let’s drink!」
奨励賞
作家の言葉
すべては姿と形を持ってはいるが、見える所もあり、見えないところもあります。
人の心も物体もそれを表現する方法として、一つの物体をスライスして再現することになりました。
私の表現を作って出した今回の作品で第72回行動展の奨励賞をいただきました。まことにありがとうございます。皆様を差し置いて私が受賞しましたのはもっと頑張れと言う意味だと思いこれからももっと頑張りたいと思います。まことにありがとうございます。
丹羽啓
にわ さとし
作品名「空をつかむ意志」
新人賞
作家の言葉
作品のタイトルにある『空』(クウ)とは、作品で使用した一つの巨石に対して体感した、材料市場で購入してから自分の手元で彫るまでの断片的なイメージであり、対象物と自身との距離感である。その自身の中で移り変わる石に対するイメージ、実態なき『空』のあり様を不変的な石の中からつかみとるため、一つの巨石から形を彫り起こし、その端材からまた同じ形を彫り起こす行為を繰り返した。
小孫ちさと
こまご ちさと
作品名「静か」
奨励賞
作家の言葉
この作品は、自分の中の優しい形をイメージしてつくりました。人によっては優しいもののイメージは違うと思います。この石を初めて見た時は、とても柔らかな雰囲気でした。しかし、石という素材は存在感もあり、強いものです。柔らかな雰囲気を持ちながら、静かに乱れることない、この石のギャップにとても心惹かれました。始めに見た時の印象を崩すことなく、変化していく形をつくりました。
風間めぐみ
かざま めぐみ
作品名「between」
作家の言葉
アルミを熱した時に、溶け落ちたりマットな質感に変化することに魅力を感じています。巨大な落花生に乗ってみたいという想いで制作しました。
田附希恵
たつき きえ
作品名「根っこ」
作家の言葉
私は根っこを作品のテーマとして作っている。
根っこは存在しているが普段土に埋もれてその姿を見ることはない。今回はその一部分だけを切り取り〈可視化〉することでその奥に伸びる形を鑑賞者がその先のかたちを考えることに根っこの存在を強く感じると考え制作した。
奥田麻里子
おくだ まりこ
作品名「共に」
新人賞
作家の言葉
この度は新人賞をいただき誠にありがとうございます。
狼王ロボと、その妻ブランカをイメージして描きました。
「共に」というタイトルをつけたロボには、ロボがブランカと共に生きいくという意味と、私自身も絵と共に生きていきたいという気持ちを込めました。
この度、ロボとブランカ夫婦を並べて展示していただけたことを大変嬉しく思います。
酒森夏海
さかもり なつみ
作品名「おばのアトリエ」
新人賞
作家の言葉
昨年、姉に男の子が生まれまして、私も叔母となり、それを記念に絵の題材にしてみようかと思い、形となりました。まだ赤ん坊の甥っ子ですが、描いた甥っ子は少し成長した子供の姿で。部屋自体もモデルの場所はなく架空の場所を。それには「甥っ子が大きくなって少しでも描く事に興味をもってくれたらな」と「こんな広い部屋で作業出来たらな」という私の願いの意を込めております。甥がどう成長して行くかは分からないですが、それは自分にも言える事なので、制作を続け、甥と一緒に成長していきたいです。
藤原宇希子
ふじわら うきこ
作品名「クライマーズ」
奨励賞
作家の言葉
人の手によって自然を模倣して作られた河川・ビオトープをモチーフとし、隠しカメラを仕掛けて定点観察するような画面作りを目指しています。
自宅で育てているおたまじゃくしが段々と成長し蛙の姿に変わりかける時期、ひとつ印象深い気付きがありました。
どうやら、「登る」という行為が彼らの生命力の原初であり、生死の鍵を握っているらしい、という事です。
生えたての手脚で壁を登っては滑り落ちて水に溺れ、また登ってを繰り返す姿は幼い時期ならではの強い精彩に満ちており、衝動的に絵にしたいと思わせるインパクトがありました。
命と自由を獲得する為に上へ上へと力を込める者たちの眩しさを少しでも感じて貰えたらと思います。
中島彩
なかじま さえ
作品名「あじさい」
奨励賞
作家の言葉
実家の庭には、二種類のアジサイが並んで生えています。
片方のあじさいは雨が降っても、風が強く吹いても次の日には真っ直ぐ伸びた元気な姿を見せてくれます、もう片方は雨が降れば花は水分を含み茎から曲がっていってしまい、風が強く吹こうものなら、花は崩れていってしまう。
そんな紫陽花の弱さと強さを表現しました。
花そのものというよりも、自分の中にある積み重ねられた感動を作品にしています。
小林繭乃
こばやし まゆの
作品名「infinity」
作家の言葉
「infinity」は、自分の過去の経験や、日常などから生まれた様々なイメージを表現した作品です。下書きをせず、墨と紙を用いた古典的な技法で描きました。
今一度自分は何を思い、この思いを画面にぶつけることが出来るか、また日本画の画材でどのように画面に表現できるかと考えながら制作しました。